「売れているファンド」は良い投資信託か?
銀行や証券会社のホームページなどでは販売上位のファンドが人気の投資信託などとして紹介されていることが多いです。こうした人気のファンドというものは投資家にとって有利な(質の良い)投資信託なのでしょうか?私は違うと考えています。
各銀行、証券会社の売れ筋投資信託
大手都市銀行、大手総合証券のホームページで公表されている。買い付け金額ランキング1位のファンドを抽出しました(2014年10月17日現在)。
こうやってみると、かなり香ばしいファンドが並んでいます。
三菱東京UFJ銀行
・米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型) エネルギーラッシュ
三井住友銀行
・欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)
野村證券
・アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)
各ファンドについて簡単に調べてみました。
米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型) エネルギーラッシュ
主にエネルギーや天然資源に関連するMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)等を主要投資対象とするファンドです。MLPとは、米国の共同投資事業形態で、エネルギーや天然資源に関する事業や金利、配当、賃料などから収入を得ています。
エネルギーの採掘や輸送・販売などに対してMLPというものを仲介して投資ができるファンドとなります。形としてはちょっと違いますがREIT(不動産投資信託)にも似ています。
販売手数料(申込手数料):3.0%(税別)
信託報酬(運用経費):概算年率2.0%(税別)
信託財産留保額(解約手数料):0.3%
※投資信託の手数料の仕組みについては「投資信託の手数料の種類と特徴、しくみ」のページも御覧くださいませ。
運用方針自体を否定はしませんが、購入時に3%が差し引かれた上で、毎年無条件に2%が運用経費として取られるかなり高コストなファンドとなっています。
欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)
ヨーロッパのハイイールドボンド(ジャンク債)に投資をするファンドです。さらに、豪ドルの為替予約(金利差収益)を噛ませることによって収益性を高めています。
販売手数料(申込手数料):3.5%(税別)
信託報酬(運用経費):概算年率1.6%(税別)
信託財産留保額(解約手数料):なし
販売手数料は3.5%とかなり高額です。このファンド見た目の利率はかなり良いはずです。ですが、なぜそのような高配当が可能なのかどうかを理解して買っている人は本当に少ないと思います。ハイイールドボンドのリスクに加えて、為替リスクも背負い込んでいます。
(参考:ジャンク債(ハイイールドボンド)とは)
もし、これを安定的な収入源として考えて買っている人がいれば大間違いですよ。欧州景気が悪化して倒産が相次げばデフォルトも増加します。また、豪ドルの為替予約も行っているので、ユーロに対して豪ドル高となればさらに損失は拡大します。
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)
上記のファンドと同様です。為替がトルコリラと豪ドルよりもさらに金利差が大きいため金利差による収益は大きくなっています。
販売手数料(申込手数料):3.5%(税別)
信託報酬(運用経費):概算年率1.63%(税別)
信託財産留保額(解約手数料):0.1%
リスクは上で説明したものと同じです。販売手数料、信託報酬は極めて高額です。
高コストかつ、複雑怪奇な投資信託を買うべきではない
上記のファンドについて、リスクまでしっかりと理解して購入している投資家はほとんどいないのではないでしょうか?
また、いずれのファンドも販売手数料が3%超とかなり高額です。さらに信託報酬も1%台後半〜2%台と極めて高く、運用会社・販売会社にとって「かなり収益性の高いファンド」ということが分かります。
こうしたファンドが販売上位にいるのは、証券会社や銀行が儲かるからです。「投資信託も「買う場所」を選ぶ時代」でも書きましたが、彼らには彼らの論理(手数料をもらってご飯を食べている)があるわけですね。
高コストなファンドはそれだけ収益性を落とします。高い手数料が発生してるからといって良いファンド(パフォーマンスが良好)ということはないというのは「アクティブファンドとインデックスファンドの比較」でもまとめています。
あと、こうした高コストなファンドは、その高額な手数料をごまかすために「複雑怪奇」につくられていることが多いです。高い手数料をもらうためにはある程度の収益性があるように見せないと正当化できません。しかし、そのような裏には「よくわからないリスク」が仕込まれている者です。
「よくわからないものに投資をしない」という投資の鉄則を忘れてはいけません。
賢明な目をもって、投資信託に投資をすることをお勧めします。
証券会社や銀行の人気ランキングは信用してはダメ
こうしたランキング情報は「ほら、こんなに売れている人気ファンドなんですよ」と営業をかけるためのツールにしているにすぎません。
売れているファンド=よいファンドではありません。
この辺りをしっかりと判断できるようになりたいものです。
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